季節が静かに動いている。窓の外では、あんなに頑固だった雪が湿り気を帯び、少しずつ土をのぞかせ始めた。
「この雪解けのタイミングなら、お客様も少しは心に余裕ができ、良い対話ができるのではないか」
仕事に向かう前の生活作業をこなしながら、そんな予感に浸っている。あと数時間で、受話器を握る「フロントライン(最前線)」が始まる。
しかし、ふともう一人の自分が冷静にささやく。
「前回の接触から、わずか2ヶ月。統計的に見て、再アプローチにはまだ早すぎるのではないか?」
数字は時に残酷だ。だが、だからといって拒絶されると決まったわけでもない。断られた理由が時期以外にある可能性も、この雪解けのように状況が変わっている可能性もゼロではないのだ。
論理的な予測と、現場の肌感覚が、私の中で静かに衝突を始める。
私は今、自らが生み出した「痛みのドライヤー(感情の熱)」と、数学的な観点の間に立っている。その両者の答えが異なってくるからこそ、私は自分自身と相談し、深く悩む。
感情に流されすぎず、かといって冷たい数字の中に埋没もしない。この「もがき」ながら最適解を探るプロセスこそが、私にとっての「フィールドワーク(実地調査)」なのだと思う。
統計や確率を考えていなかった頃、私はただ黙々と受話器を握り、その結果から得られる感覚だけで自分を修正していた。
今はそこに、客観的な「測定」という視点を加えている。
泥臭い経験知を否定せず、そこに統計的な観点をプラスする。
そうすることで、最適化された「答え」はより精度の高いものになり、私の仕事はもっと効果的で、本質的なものへと進化していくはずだ。
雪が溶け、景色が変わっていくように。私もまた、変化を恐れず、次なる一手へと踏み出していく。
-第1話「テレアポという名の不条理」はこちらから