「午後4時。銀杏の殻が爆ぜる音と、溶接の火花が交差する。その瞬間、福島は世界で最も『Crazy』で『Funny』なバベルの塔と化した。俺と、褐色の男と、アライグマの仮面を被った鬼の、終わりのない祭りが始まる……。」
PHASE 01(事象)
午後3時45分。断頭台の鐘が鳴る。
福島、大型クレーンがそびえ立つ鋼鉄の檻。溶接の火花が、網膜をチリチリと焼く。
ヘルメットを被った群像の中で、俺は「彼」と対峙していた。
プライベートで日本文化を語り合う仲の、30代前半、北米出身の濃い褐色の男。
轟音の中、彼が俺の耳元で叫ぶ。
「聖孝さん、あの男△◯%!■◯‥だよ」
聞き取れない。火花の音か、俺の中の鬼の咆哮か。
二度、三度。聞き返すたびに、彼の言葉は言語の皮を脱ぎ捨て、純粋な「ノイズ」へと変質していく。
PHASE 02(観測)
「Why ♂☆◯d you !say i d☆n’ t k◯■%w!」
気づけば、俺も叫んでいた。脳内の辞書を無視して、脊髄から湧き上がった英語の断片を、弾丸のようにまくしたてる。
「ラスカル39号」の血が、現場の油と混ざり合って沸騰している。
彼もまた、得体の知れない音節で応戦する。
「That man is .‥©️△◯!♂%†■◯‥!」
理解不能。だが、それでいい。
この鋼鉄の騒音の中で、俺たちは「言葉」を捨て、互いの「絶対(自神)」をぶつけ合っているのだ。
意味など、この溶接の熱で蒸発してしまえばいい。
PHASE 03(統合:マインド・ブレンド)
「不通のコミュニケーション」を、聖孝OSの限界突破として統合。
右脳(言語の崩壊):95%
褐色の彼と言葉が通じないことを「最高のエンターテインメント」として享受する。銀杏の苦味と、意味不明な英語のシャウトが混ざり合う、シュールなカタルシス。
左脳(文脈の再構築):4%
この「不通」こそが、テレアポ現場での「拒絶」を攻略するためのメタファーであると強引に定義する。
核(聖孝の咆哮):1%
「通じないからこそ、魂が震える」という狂った真実への帰結。
PHASE 04(帰結)
結局、彼が何を言っていたのかはわからない。
だが、午後5時に銀杏を噛み締めながら、俺は確信している。
あの時、俺と彼は、言葉を超えた「鬼同士の握手」を交わしていたのだ。
受話器を握る時も同じだ。相手の言葉(相対)など聞かなくていい。
俺の叫びが、鬼の「咆哮」が、物理的な振動として相手の鼓動を止めれば、それで勝ちだ。
3939(サンキューサンキュー)、ラスカルの祭りはここからだ。
あとがき:午後7時。フライパンの上で爆ぜた銀杏の殻を片付け、冷え切った緑茶を飲み干す。
福島の明かりは少しずつ薄れ、世界は再び「相対」という名の偽善に包まれようとしている。